MIMS & AMS/Penn-CMB協力協定締結記念特別講演会

UPenn-Meiji Special Lectures

 このたび、明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)および大学院先端数理科学研究科(AMS)と米国ペンシルベニア大学数理生物学センター(Penn-CMB)との間で、数理生物学及び関連分野における学術研究交流の推進を目的とする協力協定が締結される運びとなりました。これを記念して、以下の特別講演会を開催します。



開催概要

 ◆講演動画 オンデマンド配信 中◆

日  時 : 2023年3月14日(火)15:30~17:30(参加無料)

開催形態 : 対面とZoomウェビナーによるハイブリッド形式

講 師 1: 森 洋一朗 氏 (ペンシルベニア大学教授 Penn CMB 共同所長)

講 師 2: Joshua B. Plotkin 氏 (ペンシルベニア大学教授 Penn CMB 共同所長)

※ 本講演会は明治大学中野キャンパスで開催されますが、新型コロナウイルス感染症対策に関わる本学の活動制限指針により、会場で対面参加できるのは一部の関係者のみとなります。一般の方はオンラインで視聴が可能です(無料)。参加登録の方法は以下をご覧ください。

 視聴ご希望の方は、視聴申し込みフォームに、必要事項をご記入の上 お申し込みください。

 ※ 終了しました


 

プログラム


15:30~16:20
【森 洋一朗 (Yoichiro Mori) 氏講演】

講演題目

Mathematical modeling of cell volume control and electrolyte balance
細胞の体積調節と電解質バランスの数理
 (日本語講演)


講演動画

講義内容 

 はじめに細胞の体積調節とその電気生理学を概観し、その上でその古典的な数理モデルである pump-leak モデルを紹介する。熱力学的な観点が pump-leak モデルの振る舞いを理解するのに重要な役割を果たし、細胞の体積調節に新たな視点を与えることを見る。Pump-leak モデルは常微分方程式系であるが空間依存性を含めることにより細胞レベル、あるいは組織レベルのイオン及び水バランスを記述する方程式系を得ることができる。そのようなモデルの細胞の動きや脳疾患への応用について解説する。(日本語講演)

 Electrolyte and cell volume regulation is essential in physiological systems. Biophysical modeling in this area, however, has been relatively sparse. After a brief introduction to cell volume control and electrophysiology, I will discuss the classical pump-leak model of electrolyte and cell volume control. It will be shown that thermodynamic considerations lead to a new perspective of cell volume control. This classical model will then be generalized to a model with spatial extent (a system of partial differential equations) modeling cell-level electrodiffusive and osmotic phenomena. A simplified version of this model will then be applied to study osmosis-driven cell movement. I will also touch upon tissue-level models of ionic electrodiffusion and osmotic water flow which we have developed to study certain pathophysiologies of the central nervous system.



16:30~17:20
【Joshua B. Plotkin 氏講演】

講演題目

Measuring evolutionary forces of cultural change
人間文化における進化の駆動力
 (英語講演、lecture in English)


講演動画

講義内容 

 I will describe how to measure the forces that drive cultural change, using inference tools from evolutionary theory. We study time series data from large corpora of parsed English texts to identify what drives language change over the course of centuries. We also measure frequency-dependent effects in time series of baby names and purebred dog preferences. The form of frequency dependence we infer helps to explain the diversity distribution of names, and it replicates across the United States, France, Norway and the Netherlands. We find different growth laws for male versus female names, attributable to different rates of innovation, whereas names from the bible enjoy a genuine advantage at all frequencies. Frequency dependence emerges from a host of underlying social and cultural mechanisms, including a preference for novelty that recapitulates fashion trends in dog owners. Studying culture through the lens of evolutionary theory provides a quantitative account of social pressures to conform or to be different; and it provides inference tools that may be used in biology as genetic and phenotypic time series are increasingly available. (Lecture in English)

 本講演では、文化の変容をもたらす力を進化論の道具を用いて測る方法について述べる。具体的には、過去数百年に及ぶ膨大な英文の時系列データから、何が言語の進化を促す力であるかを特定する。また、新生児の名前や純血犬種の時系列データの中に、進化論の概念である「頻度依存選択」(frequency-dependent selection)の効果がどの程度見られるかを解析する。我々が仮説として導入する頻度依存効果モデルは、多様な人名の分布を説明するのに役立ち、そこから得られる予測結果は、米国、フランス、ノルウェー、オランダにおける人名の多様性分布をみごとに再現している。また、男性の名前と女性の名前では頻度の成長率が異なることを我々は発見したが、これは新しい名前を作り出す率の違いに起因すると考えられる。一方で、聖書に由来する名前は、他の名前と比較した頻度の大小にかかわらず常に頻度成長率が高いこともわかった。このような頻度依存性は、さまざまな社会的あるいは文化的な機序によって生み出されるものである。以上のように文化を進化理論の観点から研究することにより、社会的な同化圧力と個性を保とうとする力を定量的に分析することが可能となる。近年、生物学の分野では遺伝子型や表現型の時系列データがますます手に入りやすくなっていることから、ここで開発した解析手法は、文化論の枠にとどまらず、生物学の研究にも有用な道具になりうると思われる。



講演者プロフィール


森 洋一朗 (Yoichiro Mori)

 日本で医学を学んだ後、数理生物学の研究者をめざして渡米し、ニューヨーク大学で数学の博士号(PhD)を取得した異色の経歴の持ち主。チャールズ・ペスキン教授の下で研鑽を積み、流体力学モデルや電気生理学モデルを研究。ミネソタ大学で長らく教鞭を執った後、2019年よりペンシルベニア大学の数学科・生物学科教授となり、同年に設立された数理生物学センターの所長に就任(Plotkin氏と共同所長を務める)。40代以下の世代では、米国における数理生理学の第一人者として知られる。また、2022年よりペンシルベニア大学大学院の応用数学プログラムの総責任者を務める。

【略歴】

 2002年 東京大学医学部卒業(M.D.)
 2006年 ニューヨーク大学クーラント研究所で数学の博士号Ph.D取得
 2006年~2008年 ブリティッシュコロンビア大学博士研究員
 2008年 ミネソタ大学数学教室 助教授Assistant Professor
 2013年 同 准教授 Associate Professor
 2018年 同 教授 Professor
 2019年 ペンシルベニア大学冠教授(Calabi-Simons Professor in Mathematics and Biology)
      数理生物学センター所長(Plotkin氏と共同)
      (2020年までミネソタ大学教授を併任)


Joshua B. Plotkin(ジョシュア B. プロトキン)氏

 進化生物学および進化生態学の分野における世界的権威。数理的手法(解析およびシミュレーション)を用いて生態系や生物の多様性に関するさまざまな問題を研究している。数多くの若手研究者からなるグループを率いており、扱うテーマは多岐にわたる。研究室の活動は次のウェブサイトに詳しく説明されている。

  Plotkin research group in mathematical biology web site

 なお、Plotkin氏は2015年に数理生物学分野の権威ある賞である大久保賞を授賞している。

【略歴】

 1999年 ハーバード大学卒業(特別栄誉卒業生 summa cum laude in Mathematics)
     (1997年~98年 オックスフォード大学数学科訪問学生)
 2003年 プリンストン大学で博士号Ph.D取得(応用数学および計算数学)
     (1999年~2003年 プリンストン高等研究所)
 2002年~2007年 ハーバード・ソサエティ・オブ・フェローズ
 2007年 ペンシルベニア大学助教授(Assistant Professor)
 2011年 同 准教授(Associate Professor)
 2014年 同 教授(Professor)
 2019年 同 冠教授(Walter H. and Leonore C. Annenberg Professor of the Natural Sciences)
      数理生物学センター所長(森洋一朗氏と共同)

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