現象数理セミナー

第2回 現象数理セミナー(2008年度)

 

タイトル : 形態形成を理解するための数理的アプローチ

      (Mathmatical approach to developmental biology)

講演者 : 森下 喜弘 氏(JSTさきがけ研究員)

日時 : 2008年5月8日(木) 16:30 ~ 17:30

場所 : 明治大学生田校舎・中央校舎6階・0605室(メディアゼミ室2)

 

要旨:分子生物学の発展によって、発生現象に関連する多くの遺伝子やタンパク-遺伝子間相互作用、発現の時空間パターンが明らかになった。しかし一方で、こうした化学情報のみからでは、器官形態を決定するメカニズムを理解することは難しい。なぜなら形態変化自体は力学過程によって生じるからである。
 本発表の前半では、化学情報と力学情報を同時に扱うために我々が提案した形態の時空間発展を記述するための数理モデルを紹介する。具体的な生物対象として脊椎動物の肢芽形成・伸長プロセスをとりあげ、形態のプロポーションを決める因子や正常発生のために必要な条件等について議論する。
 発表の後半では、「位置情報の精度」に関する議論を行う。多くの発生過程において、細胞は拡散分子(モルフォゲン)によって与えられる位置情報に基づき増殖やアポトーシスといった運命を決定する。したがって位置情報の精度は正常発生の再現性と密接に関連する。位置情報の精度を定量化するための数学的な指標を提案し、精度決める因子が何かを明らかにする。とくにモルフォゲンのソースの空間配置が位置情報の精度に大きく影響を与えることを示す。この結果はノイズにロバストな発生システムを構築する上で重要な考えであり、このアイデアを脊椎動物四肢形成過程の例を用いて説明する。
 また、数理モデルの定量性の向上のために実験データがどのように関与しうるかを議論したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

自由参加です。
皆様のお越しをお待ちしております。 

 

明治大学先端数理科学インスティテュート ・ 現象数理部門(世話人:三村昌泰、上山大信、若野友一郎)


この研究会は,科学研究費補助金 基盤研究(S) 『非線形非平衡反応拡散系理論の確立』 代表者 : 三村昌泰(明治大学理工学部)の援助を受けております。

 

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