20世紀から21世紀に入り,実験,観測技術の急激な発展により,社会,生命現象等の解明という難問に対して,精緻で大量のデータの収集が可能になり,構成する要素の正体が明らかになってきました。これまで見えなかったものが見え,知ることが出来なかったことがわかるようになったのです。しかしながら,膨大な要素間の複雑な絡みが明らかになることから,現象を理解する難しさがより鮮明になってきたのも事実です。21世紀は,この複雑な絡みをいかに理解するかが課題になっています。単純な仕組みしか持たない要素であっても,それらがたくさん集まると,その絡みによって,単に足し合わせではない予想出来ないような新しい仕組みや現象が現れることはその一例です。このような問題を解決するためには,数学の力に加えて,データ解析,モデリングそしてコンピュータシミュレーション技術を相補的に用いる数理科学的方法が必要です。私はこのような方法論を「現象数理学」と命名し,グローバルCOEプログラムにおいて,現象数理学の拠点形成および発展,そして次世代の「現象数理学」研究者の輩出をを目指しています。MIMS Ph.D.プログラムでは,その活動母体である先端数理科学インスティテュート(MIMS)の所員,研究員の中から「研究指導チームフェロー」が選ばれ,その人達による複数指導を基本とした実践的な指導を行います。あなたの才能をさらにひろげ,複眼的視野の獲得をサポートするMIMS Ph.D.プログラムに是非参加ください。
MIMS所長・グローバルCOEプログラム「現象数理学の形成と発展」拠点リーダー 三村昌泰
グローバルCOEプログラム【現象数理学の形成と発展】の博士後期課程における教育の中心となるのは,本学研究・知財戦略機構の附置研究機関である明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)における Ph.D. プログラムです。
本プログラムは,本大学院の「MIMSコースワーク科目」と連携大学である広島大学大学院数理分子生命理学専攻博士後期課程における「提案型研究」への参加及び「MIMS研究指導プログラム」により構成されます。
MIMSコースワーク科目は,本大学院に横断的に設置されている「博士後期課程プロジェクト系科目」と「研究科間共通科目」をその柱としています。「博士後期課程プロジェクト系科目」には,MIMS所員がコーディネートする「先端数理科学インスティテュート科目群」が設置され,非線形非平衡系及び非線形時系列の各現象数理学について高度で専門的な知識・技術を日本語及び英語により教授し複眼的視野を養います。また,研究科間共通科目「国際系科目群」には,学術英語コミュニケーション及び英文学術論文研究方法論が設置され,ネイティブによる英語表現能力の強化科目を設置し,国際的にも通用する研究者の育成を目指します。また任意に在学中の数ヶ月間,広島大学大学院への国内留学を実施し,学生が自分自身で研究課題を企画立案し,その成果を報告するという「提案型研究」がオプションカリキュラムとして用意されています。
一方,「MIMS研究指導プログラム」は,テーマに応じて,現象数理学の横軸となる「モデリング」・「数理解析」・「シミュレーション」の分野より各1名のMIMS所員・研究員が選出され,「研究指導チームフェロー」を組み,各学生に融合的な研究指導を行います。主たるコースは,生命・生物現象を主とする「非線形非平衡系コース」,経済・金融・自然現象を主とする「非線形時系列コース」です。学生は,これらのコースに属し,現象数理学「横断教育プログラム」と「実践プログラム」を段階的に学んでいきます。
以上のコースワーク要件を満たし,研究指導プログラムを受け,一定の水準をクリアした場合には,学位請求論文を提出することができ,審査に合格した者には博士の学位が授与されます。
チームフェローによる複数指導体制,研究課題モデルについては,本ページの最後の方をご覧ください。
まずは、下のリンクより「2009年度 MIMS Ph.D.プログラム入学試験要項(簡易版)」をダウンロードください。より詳しい内容の(詳細版)の送付に関しては申し込みが必要ですので、ダウンロードリンクより下の内容もご覧ください。
An English version of the Application Guidelines for the MIMS Ph.D. Program [Enrollment for April 2009] in FY 2008 is available from here.
MIMS Ph.D. プログラム入学試験の出願希望者は,住所・氏名・メールアドレスを明記の上,以下のメールアドレス宛てに,メールを送信してください。なお,その際のメールの件名は「MIMS Ph.D. プログラム入学試験出願希望」としてください。9月5日以降に,送信いただきました住所宛てに,出願書類(無料)を郵送いたします。
送信後,1週間を経過しても大学からの返信がない場合は,お手数ですが,下記のお問い合わせ先までご連絡いただきますようお願いいたします。
(1)日本学術振興会特別研究員DC(グローバルCOEプログラム)
本入学試験に合格し入学した者の中から,特に優秀な者1名を日本学術振興会特別研究員DCとして採用します。
- 日本学術振興会特別研究員DC(グローバルCOEプログラム)制度の概要
- 採用人数 1名
- 採用期間 3年間(2009年4月~2012年3月)
- 給 与 月額20万円 ※年間240万円
- 研 究 費 150万円以内 ※科学研究費補助金(特別研究員奨励費)
(2)グローバルCOE博士課程研究員
本入学試験に合格し入学した希望者全員(日本学術振興会特別研究員DCに採用された者を除く)を,グローバルCOE博士課程研究員として採用します。
- グローバルCOE博士課程研究員制度の概要
- 採用期間 3年間(2009年4月~2012年3月) ※ 採用期間内に博士学位を取得または退学するなどして退籍した場合は,退籍時点までの採用となります。
- 給 与 日本学術振興会特別研究員DCとほぼ同等(月額20万円)の給与を支給します。
(3)給費奨学金制度(学費免除)
本入学試験に合格し入学した者全員について,入学後3年間を通じて学費【入学金(初年度のみ)・授業料・実験実習料】を給費奨学金として全額免除します。
《参考》 学費(理工学研究科 博士後期課程)
- 2009年度 1,130,000円(入学金を含む)
- 2010年度・2011年度 各850,000円
※学生健康保険組合費 2,500円は別途自己負担になります。
MIMS Ph.D.プログラム教育において最も力を入れているのが研究指導です。現象数理学を習得するために,研究テーマに応じて,「現象の数学的記述であるモデリング」,「その解析であるシミュレーション」そして「数理解析」の相補融合的な連結教育が不可欠です。それを研究指導法に導入したのが,今回のチームフェローによる複数指導体制です。従来のように,一人の指導教員に複数の学生が参加するという形式ではなく,学生の研究テーマに応じて先端数理科学インスティテュート(MIMS)においてモデリング,シミュレーション,数理解析の分野で活躍している所員,研究員からそれぞれ1名がフェローとして選出され,3名が組んだチームによる研究指導のもとで,数学と諸科学の融合を実践する現象数理学を学ぶことが出来ます。特徴としては,チームフェローとなるMIMS所員,研究員は明治大学だけでなく,学外において現象数理学に関連した分野の最先端で活躍している方々が結集していることです。
チームフェロー指導体制のもとでの研究課題の例を以下に挙げます。
(例1)細胞情報処理システムの理論解明
(例2)株価のダイナミクス解析および予測可能性
(例3)自然界における自発的な構造形成
(例4)階層構造の科学
この他にも現象数理学に関連する色々なテーマに対して,Ph.D.プログラム教育の母体となっているMIMSには,数理科学の最先端で活躍されている所員,研究員が担当者として参加します。