MIMS / CMMAトポロジーとその応用融合研究セミナー
世話人:河野俊丈、鈴木正明 (明治大学総合数理学部)
・主催: 明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)
・開催方法:
Zoom社のWebinar機能を使用しオンラインで開催する予定です(状況により変更あり)。
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日時:2024年2月15日(木)17:30~18:30
開催方法: Zoom社のWebinar機能を使用しオンラインで開催事前登録制・聴講無料
この講演において、Mathematical formulationというタイトルのスライドでfolded stateの定義を与えていますが、実は紙の重なり順を表す関数が与えられており、それを用いて、folded stateの定義に「紙Pが通り抜けない」ことを表す条件を課す必要があります。またFolding motion Fがcontinuousという条件にも、通り抜けが起こらないという条件が必要です。
この紙の通り抜けに関する条件は煩雑なのでこの発表では省略していますが、省略していることに講演の中で言及し忘れてしまいました。
この条件の詳細につきましてはErick D.Demaine and Joseph O’Rourke著、Geometric folding algorithms、 Cambridge university pressの第11節をご参照ください。講演者
村井紘子 氏
(奈良女子大学)
"Some mathematical treatments of flat foldable and/or rigid foldable origami"
Abstract:
折り紙は紙を折って立体図形を創作する日本伝統の文化だが、今では宇宙工学、医療、建築等に応用されて注目を集めており、origamiという言葉が世界共通語となっている。折り紙研究において特に注目を集めている研究対象として、折り紙には完成形が平面的になる「平坦折り可能な折り紙」や、変形の過程で各面が平坦であるという制約をつけた「剛体折り可能な折り紙」がある。例えばミウラ折りと呼ばれる折り紙は平坦折り可能かつ剛体折り可能な折り紙であり、この特徴を活かして地図や太陽光パネルの開閉に応用されている。
講演者はここ10年ほど折り紙に興味を持って研究をしており、奈良女子大学での大学院生の研究テーマとして折り紙を取り入れている。本講演では奈良女子大学における折り紙研究の成果の一部を紹介したい。
本講演では、まず2次元トーラスの相似構造を用いてミウラ折りを一般化した平坦折り可能な折り紙の展開図を与える方法(Irii-Kobayashi-Murai, ”Similarity structure on 2-dimensional torus and flat origami”, JP Journal of Geometry and Topology, 22(2019)45—63)を含む平坦折り可能な折り紙(特に折り紙tessellation)に関する話題を紹介する。さらに、各頂点の次数が4である折り紙展開図の剛体折り可能性について得られた関連する結果を紹介する。時間が許せばステントグラフトに応用されたwaterbomb tubeと呼ばれる円柱面上の折り紙の剛体変形可能性に関する話題も紹介したい。本講演の内容は奈良女子大学の小林毅氏、奈良女子大学大学院の修士課程修了生との共同研究を含む。
日時:2023年12月14日(木)17:30~18:30
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講演者
阪田直樹 氏
(お茶の水女子大学)
「動的ネットワークを用いた熱可塑性エラストマーの機械的性質の数学的解析」
Abstract:
熱可塑性エラストマー(TPE)は、常温ではゴム弾性体としての挙動をとる一方で、熱を加えると流動性を示す特性を持つ材料である。この性質により成形が容易であるため、自動車部品や食品容器といった多様な用途で広く利用されている。このTPE の特性は、異なる性質を持つ二種類のポリマーを結合したブロックコポリマーと、それらが自己組織化した際に生じるミクロ相分離構造に由来している。
特に相分離構造が生み出す球体状の硬い領域と、それらの領域を連結する柔軟な部分がゴム弾性体としての挙動を可能にしている。この構造は、球体状の領域を「頂点」とし、連結部を「辺」と捉えると、三次元ネットワークとしてモデル化が可能である。TPE を伸長するとミクロ相分離構造もそれに伴って変化し、硬い領域では分裂や融合が観察される。
今回の講演では、TPE を伸長した際の振る舞い、またその物性を三次元ネットワークのモデルを用いて数学的に解析する試みを紹介する。
本講演は、吉田建一 氏(広島大学)、下川航也 氏(お茶の水女子大学)との共同研究に基づいている。
日時:2023年11月9日(木)17:30~18:30
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講演者
Gabor Domokos 氏
(Budapest University of Technology and Economics)
"Plato's cube and the natural geometry of fragmentation"
Abstract:
If we approximate natural fragments by convex polyhedra and count the respective numbers for faces, vertices and edges then, in most cases, we find averages remarkably close to 6,8,12, the values corresponding to the cube. Not only can this observation be translated into a simple Lemma about hyperplane convex mosaics, we also find that general convex mosaics may serve as particularly fitting models for natural fragmentation patterns.
This approach not only offers a complete, global catalog of natural tilings, ranging from atomic lattices to the geometry of tectonic plates, but also leads to a rigorous dynamical theory on the evolution of tilings where cubic averages can appear as global attractors.
To verify our geophysical claims, we vetted field data from over 4000 natural fragments against computer simulations and found not only good agreement for the aforementioned cuboid averages, but we could also reproduce full distributions for many geophysical shape descriptors with remarkable accuracy.
The appearance of the cube (albeit in an averaged sense) in this context may remind one of Plato's theory of the Element Earth. I will briefly comment on some purely geometric aspects of this connection.
- https://www.pnas.org/content/117/31/18178
- https://www.quantamagazine.org/geometry-reveals-how-the-world-is-assembled-from-cubes-20201119/
- https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2300049120
- https://www.quantamagazine.org/the-simple-geometry-that-predicts-molecular-mosaics-20230621/
- https://link.springer.com/article/10.1007/s10955-023-03146-y
This is joint work with Doug Jerolmack (U. Pennsylvania), Ferenc Kun (U. Debrecen).
János Török, Péter Bálint and Krisztina Regős (Budapest U. of Technology and Economics).
日時:2022年6月2日(木)17:30~18:30
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講演者
大林一平 氏
(岡山大学)
"Stable volumes for persistent homology"
Abstract:
パーシステントホモロジー(Persistent homology, PH)はホモロジーを使ってデータの形の情報を定量化するための手法である。数学的には位相空間の増大列(フィルトレーション)上にホモロジーの構造を考えることとなる。フィルトレーションにスケールの情報をエンコードすることでデータのマルチスケールな幾何的情報を抽出することを可能とする。PHの出力はパーシステント図(Persistence Diagram, PD)と呼ばれる二次元の散布図で、PDの各点は連結成分、ループ、空隙、といったホモロジー的構造に対応している。そこでPDの各点に対応する入力データ上の構造を抽出することが可能となればPDによるデータ解析に非常に便利である。しかしこの問題の解には複数の候補があり、そこから適当なものを選びだす必要がある。数理最適化の手法を用い、ホモロジー理論上の最適化問題としてこれを解く手法が各種提案されている。大林が以前提案したOptimal volume (Volume optimal cycle)[1]もその一つである。こういった手法は既に有効に活用されており、いくつかの問題が見えてきた。本講演では Optimal volume や類似の手法が持つ (1) ノイズに対する不安定性 (2) 最小の構成要素を確率的に取り逃す、といった問題を解決するために大林が最近提案した stable volumes[2]についてその背景から数学的定義、計算法、適用例について紹介する。[1] Ippei Obayashi. Volume Optimal Cycle: Tightest representative cycle of a generator in persistent homology. SIAM Journal on Applied Algebra and Geometry 2(4), 508–534, (2018).
https://epubs.siam.org/doi/abs/10.1137/17M1159439[2] Ippei Obayashi. Stable Volumes for Persistent Homology.
https://arxiv.org/abs/2109.11711
日時:2022年1月27日(木)17:30~18:30
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講演者
金 英子 氏
(大阪大学)
「組ひも群の応用: 平面2n体問題の周期解と黄金比の仲間たち」
Abstract:
平面のn点周期運動を考えます。 もしも点同士が互いに衝突しない運動であれば、n点の軌跡を考えることによってn 本の組ひもが定まります。 このようにして得られる組ひも(実際は組ひも型)を用いると、多体問題の周期解を分類することができます。一般に組ひもは 3つのタイプ (周期的、可約、擬アノソフ)に分類されます。組ひもが擬アノソフの場合、拡大率(stretch factor) > 1 が定まり、これは組ひもの複雑さを表す不変量となります。全ての組ひも型は平面多体問題の周期軌道で実現できるか? これは R. Montgomery の問題ですが、あまり研究が進んでいません。どのような擬アノソフ拡大率が平面多体問題の擬アノソフ型の周期軌道で実現できるか? という問は関連する問題として挙げられます。Chenciner-Montgomery による平面3体問題の8の字解から得られる組ひもは擬アノソフであり、その拡大率は黄金比 (1番目の金属比)で表せます。この講演では2006年に柴山允瑠 氏によって証明された2n体問題の周期軌道の族について紹介します。柴山氏の族の周期軌道には対称性があり、これを用いて周期軌道から定まる組ひも型は擬アノソフであることが示せます。さらにその拡大率は金属比で表すことができます。金属比、3本の組ひも、2n体問題の周期軌道の族の相互関係が興味深いと思っています。この研究は、梶原唯加 氏 (京都大学) ・柴山允瑠 氏 (京都大学) との共同研究に基づいています。
日時:2021年11月18日(木)17:30~18:30
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講演者
鍛冶静雄 氏
(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)
「離散構造の幾何的表示」
Abstract:
組合せ最適化が大抵の場合連続最適化より難しいことが示唆するようにグラフや順序などの離散的な構造は計算機で処理しづらい場合があります。 そこで機械学習の前処理としてまず離散的な対象を連続的な対象に置き換えるということがよく行われます。 例えばグラフであれば距離空間への等長埋め込みを与えれば頂点が距離空間の点に対応します。 これを用いて自然言語処理では同時出現頻度や意味関係を元に単語間のグラフを構成しその頂点である各単語を高次元ユークリッド空間の点で表すということがなされます。 こうして対象に座標や距離といった構造が付加され特に微積分の道具が利用可能になることで様々な処理が可能となるわけです。
この講演では二つの例有向グラフと順序の上の確率分布を取り上げそれぞれ距離空間の部分空間列と超平面配置という幾何的な対象で写しとる方法を紹介します。
日時:2021年7月29日(木)17:30~18:30
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講演者
平岡裕章 氏
(京都大学・高等研究院)
「パーシステントホモロジーのマルチパラメータ化に向けて」
Abstract:
「データの形」を扱うパーシステントホモロジーは、現在、数学研究と応用研究が相互に刺激しながら発展している。特に、パーシステントホモロジーのマルチパラメータ化は、応用研究からの強いリクエストを受け、その数学基盤の整備が進められているが、まだ多くの課題が残されている。
本講演ではこの問題に対して、応用課題からくる具体的な動機の説明、それに対する表現論的アプローチ、さらには確率論的分解論の意義などに関して幾つかの話題を紹介する。
日時:2021年6月17日(木)17:30~18:30
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講演者
坪井 俊 氏
(武蔵野大学)
「平坦トーラスと折り紙」
Abstract:
平坦トーラスの折り紙としての埋め込みを考えます。区分線型な埋め込みに対し、その上の区分的に滑らかな曲線の長さが定義されるのでこれは意味のある問題です。直感的には局所的に展開して平面上の直線になるような曲線が測地線です。個人的には、これはナッシュ-カイパーの埋め込み定理を説明するで、区分的に滑らかな埋め込みの場合はより易しいかと思ったことに始まります。特に平坦な多様体の埋め込みは、局所的には容易に折り紙埋め込みできるので、大域的実現が具体的に記述できると思ったこと研究のきっかけです。平坦トーラスが折り紙としての埋め込めることは、知られていることでしたが、作って見せられる具体的な形を与えることができるのが面白いと思っています。
日時:2021年5月27日(木) 17:30~18:30
開催方法: オンラインで開催
講演者
下川航也 氏 (埼玉大学)
「DNA組換え酵素の結び目理論的考察」
Abstract:
この講演では、DNAの組換え酵素の研究に結び目理論が応用されていることを解説する。特に、DNA絡み目を組換え酵素が解消する様子の特徴付けと、関連する話題を取り扱う。