入門講座の内容と講師のプロフィール

●2021年度 高校生のための現象数理学入門講座と研究発表会 概要ページ


   矢崎成俊    河野俊丈



矢崎成俊 


「現象数理学おもしろ講座」

矢崎成俊  (明治大学理工学部数学科 教授)


講義内容 

例えばレシートのような小さな紙片を自分の頭の高さから落とすことを考えてみましょう。紙片はひらひらと複雑な動きをしながら落下するので、何秒後に地面に落ちるかを正確に予測することは困難です。

しかし、紙片の代わりにテニスボールだったら、かなり高い精度で落下時間と落下地点を予測することができるでしょう。

この違いは何でしょうか?逆に考えると、紙片の行方を正確に予測するにはどんな条件が必要でしょうか?

ぼくらの身の回りには、見慣れているけどよくよく考えると不思議で面白い現象が沢山あります。また、感染症流行や地震、温暖化など、解決の難しい問題も沢山あります。これらの現象は、なぜ正確に予測することが難しいのか、そしてそのような現象を扱うためには、どのように観察し、理解していけばいいのか、そのヒントとなる見方や考え方を、簡単な実験などを交えながら紹介します。

 


専門分野 : 界面現象の数理解析、実験数学

経歴
 1993年 早稲田大学理工学部数学科卒業
 2000年 東京大学大学院数理科学研究科博士課程修了
 学位:博士(数理科学)(東京大学)

 2000年 電気通信大学電気通信学部 助手
 2001年 武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部 講師
 2003年 宮崎大学工学部 助教授
 2012年 明治大学理工学部 准教授
 2015年 明治大学理工学部 教授(現在に至る)

著書(主なもの)
 『実験数学読本』1,2,3巻,日本評論社,2016,2019,2020.
 『界面現象と曲線の微積分』,共立出版,2016.
 『大学数学の教則』,東京図書,2014.
 『動く曲線の数値計算』,共立出版,2019.
 他


特記事項

  • 高校生、数学愛好家、小中学生たちなど相手に実験教室や実験数学の講演を年に10回程度催している。
  • 雑誌『数学セミナー』(日本評論社)に2年間の連載2回を含む、合計50本以上の記事を寄稿。
    (最初の連載は2011年4月から1年間『自分でつくる現象数理』というタイトルでした。)
  • 2021年夏から、日本数学会の雑誌『数学』(岩波書店)の編集長(予定)。
  • 2021年秋から、雑誌『日経サイエンス』、雑誌『現代数学』に連載予定。

 


河野俊丈


「トポロジーで探る対称性と周期性」

河野俊丈
 (明治大学総合数理学部現象数理学科 教授)


講義内容 

私たちのまわりには、様々な規則的なパターンが存在します。原子や分子などの配置、植物の葉の配列などはそのようなパターンの例です。

このような規則性について対称性をキーワードにして記述することを考えます。2つの方向の平行移動で変わらないような対称性のパターンは平面結晶群によって記述されますが、これをトポロジーの考え方を用いて分類することを説明します。さらに、周期性を持たないタイル貼りについても扱います。

 


専門分野 : トポロジーと幾何学、および数理物理などへの応用

経歴
 1979年 東京大学理学部数学科卒業
 1981年 東京大学大学院理学系研究科修士課程修了
 学位:理学博士(名古屋大学)

 1981年 名古屋大学理学部 助手
 1988年 名古屋大学教養部 講師
 1990年 九州大学理学部 助教授
 1992年 東京大学大学院数理科学研究科 助教授
 1995年 東京大学大学院数理科学研究科 教授
 2007年より東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 主任研究者を兼任
 2020年 明治大学総合数理学部 教授(現在に至る)

著書(主なもの)
 『組みひもの数理』 遊星社
 『曲面の幾何構造とモジュライ』 日本評論社
 『場の理論とトポロジー』 岩波書店
 『反復積分の幾何』」 シュプリンガー・ジャパン
 『結晶群』 共立出版

特記事項

 受賞:日本数学会2013年度幾何学賞

 幾何学模型の保存と制作、幾何学の可視化に関わるアーティストとの協働に携わる。
 https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/models/ 参照

 その他のアウトリーチ活動

  • 東京ガーデンパレス紀尾井町数学セミナー「数学×宇宙」(2018年)
  • ひらめき★ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜KAKENHI
  • 「美しさと対称性をランダム性から考える」(2018年)
  • NHKカルチャーセンター現代数学講座
  • 「ブラックホールの幾何学」(2021年)

 


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