明治大学 研究・知財戦略機構の山本誉士特任准教授(MIMS研究員)がこのたび、日本鳥学会 黒田賞を受賞しました。
これは、日本の鳥類学の発展に貢献した黒田長禮・長久両博士の功績を記念して同学会が授与するもので、鳥類学で優れた業績を挙げ、これからの日本の鳥類学を担う日本鳥学会の若手・中堅会員を対象に、選定・授与されます。
● 日本鳥学会ホームページより
【日本鳥学会 黒田賞】
2020年度受賞者:山本誉士 (明治大学 研究・知財戦略機構)
◆ アルゼンチンでのマゼランペンギン調査の様子選定理由:
山本誉士氏は,主にバイオロギング手法を用いて,これまで観察困難なために未解明であった海鳥の繁殖地外での行動や環境利用,渡り経路を明らかにしてきた.このような情報は将来の海鳥研究の基礎を成す高い価値を持っている.また多くのフィールド調査で得た膨大なバイオロギングデータに精緻な統計数理解析を加えることで,鳥類学のみならず行動学,海洋学,環境学等の分野横断的な研究業績を数多く積み上げてきた.こうしたデータ駆動型の研究スタイルは,鳥類学の新展開として今後益々の発展が期待できる.研究成果はOrnithological Scienceをはじめ多くの国際誌に掲載されている.日本鳥学会でも和文誌・英文誌の編集委員など様々な形で貢献してきたほか,一般に向けた研究成果の解説も数多く行ってきた.世界各地で精力的に国際共同研究を進めると共に,社会に向けた積極的な情報発信も行っており,今後も日本の鳥類学の発展に大きく寄与することが期待される.山本氏のこれらの業績を高く評価し,黒田賞受賞者として選定した.
【山本誉士】プロフィール
職格:明治大学 研究・知財戦略機構 特任准教授
学位:博士(理学)
総合研究大学院大学
複合科学研究科 極域科学専攻
専門分野(研究分野):
専門は行動生態学.主に鳥類や哺乳類などの大型動物を対象として、環境と関連した時空間分布動態および行動特性について研究.バイオロギング手法と統計解析を用いたデータ駆動型の研究スタイルおよび野外で動物や自然を観察するフィールド生態学を基盤として、国内外の様々な調査地で活動.HP:http://ytaka.mystrikingly.com/
主な研究業績:
Yamamoto T, Yoda K, Blanco SG, Quintana F (2019) Female-biased stranding in Magellanic penguins. Current Biology 29: R12–R13.
リンク→ イギリスのBBCで紹介された動画
Yoda K, Yamamoto T, Suzuki H, Matsumoto S, Müller M, Yamamoto M (2017) Compass orientation drives naïve pelagic seabirds to cross mountain ranges. Current Biology 27: R1152–1153.
Yamamoto T, Kokubun N, Kikuchi DM, Sato N, Takahashi A, Will A, Kitaysky AS, Watanuki Y (2016) Differential responses of seabirds to environmental variability over 2 years in the continental shelf and oceanic habitats of southeastern Bering Sea. Biogeosciences 13: 2405–2414.
Yamamoto T, Kohno H, Mizutani A, Yoda K, Matsumoto S, Kawabe R, Watanabe S, Oka N, Sato K, Yamamoto M, Sugawa H, Karino K, Shiomi K, Yonehara Y, Takahashi A (2016) Geographical variation in body size of a pelagic seabird, the streaked shearwater Calonectris leucomelas. Journal of Biogeography 43: 801–808.
Yamamoto T, Watanuki Y, Hazen EL, Nishizawa B, Sasaki H, Takahashi A (2015) Statistical integration of tracking and vessel survey data to incorporate life history differences in habitat models. Ecological Applications 25: 2394–2406.